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 ISM研究会の皆さん,代々木のラルフ・ネーダーこと,今井です。

 どうでもいい話なのだが,今日,新宿のデパートで魚を買いに行ったら,桜
色の魚が大量に置いてあった。「天然物」の「鯛」と書かれている。よくよく
見てみると季節遅れの花鯛(血鯛)であった。

 旬を外れてはいる(卸したところ,卵巣が成長していた)[*1]が,何よりえ
らく安かったし,大型だったので買ってしまった。それはそれで楽しめたのだ
が,花鯛は花鯛と書いた方がいい。一言で「鯛」と言ったら常識では真鯛を指
す。いやそもそも厳密には「鯛」などという魚は存在しないのだから,真鯛は
真鯛,花鯛は花鯛,黄鯛(連子鯛)は黄鯛と書いて欲しいものだ。花鯛には花
鯛の楽しみ方があるが,それは真鯛の楽しみ方と少し違うからだ。

[*1]大量に捕れる時期と本当に旨い時期とは必ずしも同
じであるとは限らないということだ。特に,これは産卵
のために深海から浅瀬に上がってくる魚の場合にそう言
える。この点でも,テレビの奥様番組なんかの中には,
嘘が平気で罷り通っているものがある。

 尤も,もう一歩踏み込んで言うと,日本列島は南北に
長く,しかも日本海と太平洋とでは海流の質が違うか
ら,産地によって旬が違ってくるということとともに,
調理法によっても旬が違ってくるということが言える。
例えば,松江では鱸は冬の食べ物だそうだが,これは奉
書焼きにするからであろう。このことを考慮に入れる
と,常識的に旬と呼ばれている時期を失しても,調理法
次第では,かえって美味しく食べられるかもしれないと
いうことである。やはりこの点でも,テレビの奥様番組
の中には嘘ばかりついているものがある。

 食品表示の仕方が変わって,以前と比べると,消費者に親切になったが,こ
ういう点は,まだまだ甘いようだ。