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ISM研究会の皆さん,今井です。俺も本当にしつこいですな。
政府のWebサイトがもう無茶苦茶なのは,これまで指摘した通りだが,政党
のサイトも目茶苦茶だ。
Another HTML-Lintで採点してみると,自民党から共産党に至るまで,どの
政党(衆議院議席保有政党)も,もう惨憺たる状況だ。
中には社民党──
http://www5.sdp.or.jp/
のように,──
「このウェブサイトでは、W3Cが提唱している「Web
Content Accessibility Guidelines 1.0」を基に、音声
ブラウザ等に対応したページづくりを目指しています」。
と言っておきながら,平気で画像に代替テキストを付けない政党もあって,な
かなか微笑ましい[*1]。
[*1]技術的な問題に詳しい方への注。W3CのWeb
Content Accessibility Guidelines 1.0の
“Checkpoints 1.1”──
http://www.w3.org/TR/WCAG10/#q16
にあるように,WAI(Web Accessibility
Initiative)の方針では,“Provide a text
equivalent for every non-text element (e.g., via
"alt", "longdesc", or in element content).”となっ
ている。“every non-text element”と言っている以
上,代替テキストを付けるのが無意味であるような場合
にも,例えばalt=""という風にしろというわけである。
そうしないと,例えば,ファイル名を読み上げてしまう
ようなスクリーンリーダもあるかもしれないということ
だろう。
尤も,──
http://www.din.or.jp/~hiro-/barrierfree/howto/3_image.html
を読む限りでは,例えば,IBMのホームページリーダ
は,画像については,ファイル名を読み上げるようなこ
とはしないようである。
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因みに,アクセス性に配慮したと称している政党は社民党だけである。他の
政党はおよそアクセス性には配慮していない。だから何をやっても構わない。
何でもありだ。やれやれ,やっちまえ! まぁ,これはこれで,潔く,清々し
いことだ。
まぁ,そんなことはどうでもいい。われわれとしては,やはり,こういうサ
イトは大いに笑って不況を吹き飛ばしたいものだ。
Another HTML-Lintの採点を別にすると,一番笑えたのは新社会党の旧ウェ
ルカムページ──
http://www.sinsyakai.or.jp/home.html
である。どうもこの政党はウェルカムページのファイル名をhome.htmlから
index.htmlに変更したようだ。それを知らずに,旧ウェルカムページにアクセ
スしたところ,「画面が変わらない場合、鳩をクリックして下さい」と書かれ
ている。
「画面が変わ」る……わけがない。ソースを見てみると,リンク先が自分自
身になっているからだ。
<meta http-equiv="refresh" content="2;url=http://www.sinsyakai.or.jp/home.html">
何故にこんなことをするのか,馬鹿のやることはよくわからないし,またや
ることがよくわからないからこそ馬鹿は馬鹿たりうるのだが,たった一つだけ
私にもわかったことがある。──「鳩をクリックして下さい」という文言が意
味をもつのは,何よりも先ず第一に視力を(しかも十分な視力を)前提するこ
と[*1],第二に鳩を極めて抽象化することができるたぐい稀な造形能力を前提
すること,これである。こういう私も,どれが鳩なのか,最初はわからなかっ
たぞ。
[*1]技術的な問題に詳しい方への注。なお,新ウェルカ
ムページへのリンクのアンカー要素(a要素)にはtitle
属性は設定されておらず,またアンカーとなっている
GIF画像(img要素)のalt属性は「人権・平和・福祉・
環境の新しい社会をめざして」であって,どこにも
「鳩」という言葉は入っていない。だから,スクリーン
リーダでは,どれが“鳩”なのか,判別しようがない。
わけがわからなくて立ち往生するまま,二秒ごとに,
ページが同じページへとrefreshされていく。そのたび
ごとに,スクリーンリーダは,同じ文章を馬鹿の一つ覚
えのように繰り返して読んで,拷問というものが一体な
んなのか,教えてくれるであろう。
そうか,ようやくわかった。私は「馬鹿のやることは
よくわからない」と言ったが,取り消したい。恐らく,
このページは,アクセスしたのが全盲者,弱視者かどう
かチェックして,しかる後に全盲者,弱視者をイジめて
イタぶることを目的としたものなのだろう。そう解釈す
ると,それなりに合理的ではある。
---------------------注,終了----------------------
それはそうと,“鳩が描かれた画像をクリックして下さい”と言うならまだ
しも,「鳩をクリックして下さい」というのは不可思議な文言だ。「鳩をクリ
ックして下さい」という文を読んで,鳩はいないかと,左手にマウス,右手に
大豆を持ち,窓から顔を出している,パソコン初心者のご老人の姿を想像する
と,微笑ましさはひとしおだ。さぁ,クリックするぞ,鳩をクリックするぞ,
鳩はどこかな,ポッポッポッ,鳩よってこーい。